子どもの頃、家の近くの旧道に、「かぶき坂」という盛り上がった小坂がありました。
「かぶくは傾く」
という名前のいわれの説明書きに、なんとも言えぬ魅力を感じたのを今でも思い出します。
その旧道は、旅人が通った道。
そして、かぶき坂の先には、その昔、処刑者が埋まっていて、道行く人が首を斬っていった・・・というような話をきいた記憶がありますが、今では曖昧な記憶です。
ただ、子どもの私には、犬の散歩で通るたびに、かぶく先にある死の世界に、なんとも言いようもない、惹き付けられるもの感じていたような気がします。
(ちなみに、お化けが出る話は一切聞いた覚えがありません)
かぶくことは、世間ではパンクであることかもしれませんが、大らかに包み込む感覚が私にはあります。
それは幾度も見続けた「かぶき坂」の膨らみと長閑な光景が、私の心身にそう刷り込んだのかもしれませんが。。
でもね、昨日は包み込まれて私の心がかぶき踊るような体験を3つしたのでした。
まず朝、サラウンドに包まれてきました。
常々思うことですが、映画の劇場は5.1chサラウンドが普及しています。
平面画面で見る表現メディアがサラウンドで観ることによって感じるリアルさは、誰だって感じていると思う。
平面でない舞台空間が、いまだに2チャンネルの平面的な音響ですまされていることの違和を、私の身体は昔から感じてきていた気がします。
とはいえ、マルチサラウンドに包まれて、踊る身体になるには、もう暫く自身の感覚を研ぎ澄ませないとだなって、思います。
でも、かぶき坂の向こう側みたいに、この先に続く道が、ワクワクです♪♪♪
そして、その後観たのが国立劇場で開かれた『花柳舞踊研究会 名作集』でした。
日本舞踊に大きな功績を残したといわれる、二世花柳壽輔の作品にスポットを当てた舞台でした。
本当にすばらしい歌舞でした。
うたまひもののねが、洒脱に空間を自在に飛び回っていました。
そして、特に私の奥底に感動を響かせたのが、人間国宝・花柳寿南海さんの踊りでした。
演目は『遍路』でした。
『四国八十八箇所の霊場を巡るお遍路さんの素朴な心情を表現します。菜の花畑や街道を巡礼したことや、子守唄に懐かしさを感じるなど、深い情感を讃えた素踊りです』
という説明書きがありましたが、80代と伺った寿南海さんの踊りは、非常に深く、楽しい踊りでした。
お祭りに巻き込まれた光景を描いたかとおもいきや、
『本来東西なし、何処に南北あらんや』
『見果てぬ夢の月一つ』
など、かぶく様に織り込まれた非常に深いテーマをハラ一つで演じきる姿に、鳥肌がたちました。
そして、劇場そのものを包み込む大きな優しさ、舞台に数々の名残り深い想い出を刻み込んでいたであろう踊り手の、後ろ髪引かれるような豊かな想いが、立ち昇っていました。
一見平坦な道に織り込まれた膨らみが、やはり歌舞伎そのものなんだと思いました。
人生の坂を豊かに乗り越えると、まことの花に通じているんだと、思いました。
そんなこと気づかされる芸能に触れられる環境にあることに、有り難味を感じています。
そして、常々想うことですが、 日舞も歌舞伎も能も、同じですが、そもそも生の囃子のサラウンドに包まれて、踊り手と一体化した調和空間が築かれている。
そこに私は惹きつけられます。
やはりマルチサラウンドは舞台の原点です。
そして最後に・・・、
『 十七~十八世紀にニュートンによって確立された古典力学は、私たちの身の周りで起こっている日常レベルの自然現象であれば、実にきれいに説明してくれます。しかし、対象が、宇宙の創生であるとか、原子、分子など、ミクロの世界のこととなると、古典力学の考え方は、全く通用しなくなります。そこで、二十世紀に新しく生まれたのが、相対性理論と量子力学という学問分野でした。
ところがここで大切なことは、それではニュートンの力学は間違っていたのか、といえば、決してそうではないということです。相対性理論や量子力学は、その体系の中に、ニュートンの力学をうまくとりこんでいます。たとえば、相対性理論の中で、今まで考えられてきたように、光の速度が無限大であると仮定すればニュートンの力学になり、量子力学の世界でエネルギーの大きさが連続的であるとす仮定すればニュートンの力学になるというように、新しい理論は、古い理論を包括しています。これが”考え方の枠を広げる”ということです。』
(佐治晴夫『からだは星からできている』)
私がもう一度踊ろうと決心がついた一つのきっかけは、佐治晴夫先生の本との出逢いです。
『ゆらぎ』と宇宙の始まりについて知った時、自ら創作をしたいという衝動に駆られたことを最近、雲龍さんとお話していて思い出しました。
また先生の本に、新たに背中を押された気がします。
これからも日々日常のなかをゆらぎながら、かぶく気持ちを大切に、踊りたいと思います★☆





コメント (2)
櫻井繁樹:
岡様
いろんな意味で濃いプログをありがとうございます。
灰色の脳みそが刺激され、とても喜んでます。
この間隔で、これだけの文章を書くのは大変なような気がしますが、とてもすばらしいことだと思います。
また、なぜか、文章を読ませていただいていると、大学時代に京都のお寺で庭を観ているうちに昼寝をしてしまい、ごじゅうしょくにしかられたことなどを思い出してしまいました。
私は、「私の人生は、6割食べること、4割夢、ついでにお仕事」ということでふれまわっている人間ですが、ポイントは、だれと食べたり飲んだりするかということです。
ちなみに、今日は、主催をしている異業種交流研究会(ただ飲むだけの会)で隅田川のお月見をします。仕事は、季節を感じながらです。
ではまたの機会に。
櫻井拝
投稿者: 櫻井繁樹 | 2008年09月16日 13:57
佐和香:
有難うございマス^^
私も食べるの大好きです^^
特に踊った後にたくさん食べられるのが嬉しいです^^^^
ではまた!!!
投稿者: 佐和香 | 2008年09月19日 01:44